王女メリサ2/atsuchan69
抱いておりました。「まだ立っていられるかね?」
「ええ。どうか御心配なく」
やがて先導していた警護の者が馬よりおリたち、黒塗りの馬車の扉をひらきました。一瞬、あたりがしーんと静まりかえりました。扉からピンク色のエナメル靴を履いた二本の可愛らしい足がのぞくと、つぎにあらわれたのは王女メリサ――きゃしゃな容姿とあどけない笑顔――でした。するとそのとき、「おおう!」というどよめきが再びおこりました。メリサはピンクの縁取りのある純白のドレスを着て、まるで妖精そのもののように見えます。花びらをちらした紫の絨毯のうえを魔女エスターの手にひかれて彼女は歩きだしました。エスターは深みのあるグリーンを基調にし
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