王女メリサ2/atsuchan69
て知ることもなく、ただ楽天家の口調でそう言いました。
あくる朝。その日、その日でした! 近衛の兵たちがいくぶん元気のないラッパを吹きならしました。活気のきえた空に祝砲がいくども鳴りひびき、メリサをのせた白馬の四頭だて馬車が警護の者らにまもられ城の庭に着きました。パンをたべられなくても、噴水のある広場には大勢の国民がやってきて犇(ひしめ)きあいました。バルコニーから王様と妃がすがたを見せるとその声はいっせいにたかまり、祝砲の音をかき消すほどまで湧きあがりました。王様は国民にむかって手をふりながら、
「妃、もうすぐメリサが・・・・」
そしてもう片方の手は妃の肩をしっかり抱い
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