王女メリサ2/atsuchan69
をかけましたがメリサはまるで聴こえぬふりで、
「あの日、メリサ王女もこのようだったのね」
そのあとやって来て彼女のうしろに立ったエスターを見上げ、だまって相槌をうちました。
メリサの瞳には、このとき「あの日」力なくたおれた亡き父の影がうかんでいました。
「さて諸君! 輝かしい王家の柱となる者たちよ」あたらしい王は言いました。接見のための広間には城の重鎮たちがあつめられ、痩せて青白いかおの王さまはどこか頼りのない威厳をみせて玉座に就いていました。以下の言葉のあと、城のなかでは滅多矢鱈とないどよめきがおこります。あたらしい王さまは、誰もが予期しなかった言葉を口にしはじめま
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