王女メリサ2/atsuchan69
 
て段を踏むのが面倒になったからです。
 玄関には大臣たちがならんで立ち、襟や前ボタンを心配そうにいじりながら実はもうかなりだいぶ前から王を待つあいだのしばらくをお喋りにあてていました。ときどき会話がとだえますが、そのうち大臣のひとりが庭を埋めつくした人々に手をふりながらふたたびお喋りをはじめました、
「前国王がお亡くなりになるときに泣かなかったことはまさに致命的な事実だし、妃が城を出てお行きになられたのちも、『泣いている姿を見た』という者が国じゅう誰一人としていない。さすが魔女の娘・・・・」
「やめんかね大臣。その言葉、不謹慎ですぞ」
「いえ“魔女”というのはむしろ王女を賛美する意味で言っ
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