王女メリサ2/atsuchan69
う嫌らしい笑い声がふたたび妃の耳にこだましました。
「わあーっ!」
威厳も格式もなく、妃はおもわず泣きさけびました。傍らに侍従が立ち、なにもできずその手を口にやったままただただ天井を見上げるばかりです。
こうして翌日には一転、国じゅうがふかい哀しみにしずむと、どの家も朝がきたというのに窓をあけることもしません。石畳の街はしんとしずまりかえって猫の子一匹たりとも路地をよこぎりませんでした。どの村々にも病に伏せたひとの部屋のように重苦しい空気がただよっていました。湖には人とのいない舟が桟橋につながれてぷかりぷかりと浮いていました。告別式の翌日も、またその翌日も儘(まま)かわ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)