月夜見歌/朱雀
めて ひとたび その瞳(め)に写り
情思の双葉を 宿らせ給え
望月
愛(め)ずらし姿に 暫し見蕩れて
待ち侘び続けた 人影も
槐夢(かいむ)と怪しみ 声すらかけず
不知夜月
漫(そぞ)ろがましき 宵闇に
猶予いながら 浮かぶのは
確かに 昨日の優姿(やさすがた)
遮る雲に 呟(つぶ)めく詫言
十七日月
心躍らせ 立待つ薄暮に
現れ出(いず)る 影ひとつ
十八日月
胸走りは 納まらず
昨夜(よべ)より長い 居待ちの月に
憂いと安堵の 溜息ふたつ
十九日月
痺れ
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