影2/yoshi
 


彼女とは言葉を交わしていなかった

どの面下げて

見舞いになんて行けるものか

何度考えても

僕の中で彼女の見舞いに行ける口実など

見つかりようがなかった


結局

彼女に会えぬまま卒業式が終わり、

春が来て僕は都会の街を一人歩いていた

ぶらぶらと

あまり意味のない4年間を過ごし

いつの間にか

ネクタイを締めていた


雨の日は今も苦手だ

あの空き地に行って影踏みが出来ないから

勇気を持てず彼女の気持ちに応えられなかったから


2年前の同窓会で

彼女の友達だった女に会った

彼女の病気は悪
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