王女メリサ/atsuchan69
「奪ったと申すのか」
「いえ。・・・・お許しを。ただ、魔女はそのように・・・・」
侍従の言葉をさえぎり、王は威厳をもって言いはなちました、
「自由を殺してまで平和を望むべきだろうか? 魔の力に媚びて平和を口にできるだろうか? 平和とは自由。自由とは愛をはぐくむ時と場所。わたしはこの信念をけして曲げるつもりはない」
侍従はよけい心配な顔になって言いました。
「外はだいぶ酷いです」
王様はかたく目をとじて言いました、
「つよい怒りほどすぐに消えて失せるものだ。案じるのではない」
そのとき、カミナリが別棟の屋根に落ちるさまをふたりは目の当りにしました。
「王様・・・・」
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