王女メリサ/atsuchan69
 

「いや大丈夫。窓を閉じよ。わたしは鏡の部屋へゆく」
 侍従はでてゆく王の背中をすさまじい風のおしよせる個室の窓辺に立ってなにか言いたげに空ろな顔で見送りました。



 妃は魔女エルダとともにその妹エスターの胸のメリサを見ました。
 永遠のバラの咲く夜のない庭といたいけな子らのあそぶ広場、虹色にかがやくクリスタルの門と煙突のない無数の蝶たちがとびかうお花畑の屋根。ところどころ蔦におおわれた家の壁には貝殻や珊瑚がしっくいの下地が見えなくなるほど無邪気にたくさん張りつけられています。まさか昼だというのに太陽はなく、青い空には透明なオレンジやピンク・・・・そしてイエロー、あるいはグ
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