王女メリサ/atsuchan69
 
い病になりました。王様はそれでもわざと笑みをこしらえ、
「メリサはいつも元気そうだ。なにも心配することはない」
 そう言うと妃のつい傍まで来てベッドのかたわらに置かれたかざりけのない小椅子にすわりました。「どうか早く治ってほしい、どうか・・・・どうかお願いだ」
 すると妃はしろい顔でわらい、
「王様・・・・」と言いました。「王様。わたしたちが初めてあったその日のことを覚えていらっしゃいますか?」
「覚えているとも。あの日わたしは狩りの途中、道にまよって森をさまよっていた」
「あれは底なしの沼のほとりでしたわ。わたし、さびしいときいつもあの場所へゆきました。なぜかあの場所に立つとなつかし
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