王女メリサ/atsuchan69
 
たすと、妃はちいさな額に手をあて立ち止まりました。ほんの一瞬めまいを感じ、足がよろけ倒れそうになったからです。
 箒にのってとぶ魔女の姿や髑髏の祭壇、いじわるく笑う母の顔が眼のまえにうかびました。そして王様のやさしい顔がにわかにくもり、国じゅうの愛すべきすべての人々の瞳に無数のカラスたちが地上に降りてきて羽ばたきざわめくなんとも不吉な光景がうつるのを見ました。村々が焼けるさまや泣きさけぶ女と子どもたち、戦争と疫病、ききん、つみかさなる死体の山とそこに群がり肉をついばむカラスたち・・・・未来に起きるであろう悲惨な出来事を、このとき妃ははっきりと見たのです。



 妃はそれから重い病
[次のページ]
戻る   Point(4)