王女メリサ/atsuchan69
 
気をうしなっていました。庭であそんでいた靄が戸のすきまからやってきて隣の部屋へ彼を運びました。間もなく靄は戻ってきて妃の足元に・・・・妃は言いました、
「ええ。帰るわ」
 そのとき、
「最後にひとつだけ教えてあげるわよ、あんたの子供にはもう呪いがかかっているのさ!」
 と、魔女はひどく嬉しそうに言いました。「いひひひ・・・・」
「・・・・」
 妃は顔色をかえて家を出てゆきました。白くぼんやりうかんだ靄が妃のあとを追いかけてきて沼のほとりまで彼女を送りました。そのあと妃は泣きながら城へむかう長い夜道をひとり歩きはじめました。森をでたころ薔薇色に染まった田園の景色を涙でにじんだ瞳でみわたす
[次のページ]
戻る   Point(4)