王女メリサ/atsuchan69
の中へ」
従者に案内されて家にはいると、魔女はボロ着のきれはしをあばらの骨にまとわりつかせた骸骨と社交のダンスを音もなくつづけています。妃はつい先ほど従者に手渡されたドングリを耳に入れました。ああ! それは地獄のメロディ。けして天国へはいることのない死人たちの苦痛とこの世への憎しみ、怒り、もがくような悲しみに同調する旋律とタッチ。まさに悪魔のしらべ。そのとき妃は殺したばかりのキツネや山猫の血をのんだことやこれ以上もう二度と思い出したくない過去のさまざまな黒い記憶を一瞬よみがえらせました。そしてドングリを耳からはずし、
「母さん!」
そう叫びました。
「来たのは知っているし、来ることも知
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