王女メリサ/atsuchan69
 
ら、
「これは妃、いますぐ下へ降ります」
 従者が声をかけました。妃がその木を見上ると、枝に縛りつけた小屋の窓から彼が顔をのぞかせています。
「おはよう!」
 こんな時間でしたが、妃は魔法使いの流儀であいさつをしました。
 彼は枝にかけた蔓をつかって降りてきて、
「魔法がつかえたら、こんな苦労はしなくてもいいのですがね」
 そう言いました。
「母さんはもう起きてるのかしら?」
「ええ。もうとっくに。森をさまよって死んだ旅人をよみがえらせてダンスを・・・・」
「でも音楽は聴こえませんよ」
「このドングリを耳に」彼はポケットから魔法のドングリをひとつ取りだしました。「さあ、家の中
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