王女メリサ/atsuchan69
するとどこからやってきたのか白い靄(もや)が訪れて妃の足のあたりをつつみました。妃は真下にむかって、
「久しぶりね、元気だった?」
靄はとても嬉しそうに妃のからだのまわりを覆い、ぐるぐる奔るように動きつづけました。「まわらないで! 眼がまわるから。それよりわたし魔法はもう使わないの。だから母さんの家までわたしを連れて行ってちょうだい」靄は妃の眼のまえでドーナツのかたちになりました。それからとつぜん、いきなり地面すれすれにとびたちました。すると妃はまえかがみになって倒れましたが、靄は止まろうともせずにどんどん飛びつづけます。森が、木々があっという間にすぎてゆきました。・・・・妃は両手で顔
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)