王女メリサ/atsuchan69
した。その真横に立つエスターはただやさしく微笑んでいました。
こうしてその日、王様と妃は鏡の部屋で一日をとてもみじかくすごされました。
そしてある夜。王のまえに妃は立ちました。
「まだ早いのでは?」
王はゆらゆらと燃える暖炉のそばで椅子にのけぞっていました。
「もう大丈夫。怒りはとうに退いた。妃の母とて人の親。いまごろ可愛いメリサを抱きたくてさぞや辛抱しているにちがいない」
「・・・・」
そこで妃は、母である魔女ヘレンに会うことを決め、城の窓からフクロウに姿をかえて飛びたちました。
さすが森のうえまでくると狼の啼くこえや昔なつかしい木々の葉のささやきが
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