王女メリサ/atsuchan69
いくぶん細めた王様と妃が映っています。
「元気そうだ。メリサ、もうじきおまえは3歳になる。早いものだ」
「メリサ、いまこれだけ!」
彼女は鏡のまえで「ふたつ」を指でつくろうとするのにできません。それでしかたなく片方の手で親指をおさえました。「あれ?」すると小指が立ちました。「あれあれ?」
「もういいわ。メリサ、もういいのよ」
妃はくすくす笑って言いました。
「こちらはいま実りの秋をむかえようとしている。農民たちは収穫におおわらわだ。冬には国じゅうが贅沢をしてもらいたい。なんといっても、メリサ! お前が帰ってくるのだから!」
「うん!」
メリサは瞳をつよくかがやかせて言いました
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