絵描きを夢見て、詩人を目指した/雨露 流
 
か、私に絵を描く趣味があるわけではない。
ただ鑑賞することが好きなのだ、すぐれた絵画を眺めることで心が癒された。
私はそれらを描いた画家にも興味がでてきた。何故、描くのか。何のために描くのか。
その理由を知りたかった。

生活の為……。賃金を得るため……。

その程度、いやそれは重要だろう。しかしだ、現に生きているうちには一枚しか絵が売れなかった画家もいる。
その一枚も友人が買ったに過ぎない。

では、彼は何ゆえ描いたのか。そんなことは知る由も無いが、彼の描いた絵は全て自画像のように私に映った。
夜のカフェテリア、精神病棟の窓から見えた川、カラスの舞う麦畑、たくさんのひまわり
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