ニカラグア競争男/カンチェルスキス
 
うマダガスカル過ぎたのか。どこだよ、いったいどこにいんだよ」
「ああ、おれはもうとっくにニカラグアさ」
 先割れスプーンの先っちょを思い浮かべていただきたい。ちょうど、
 そのときおれは、ジョギング途中のおばはんが取り損ねた
 自動販売機のつり銭の10円玉がころころ地面を転がってきたのが見えた、
 きっとそうだろう、こういうことだろうと思って、当たり前のように、
 もう白米を見ても驚くことがなくなったニッポン人みたいに、平然と、
 拾い上げ、硬貨10円なり、続けて行うふるまいが何なのかすら
 考えもしない、どぎどぎもしなければ、公然わいせつもしない、
 脇に挟んだよ、それを、10
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