ケータイ電話/はるこ
 
二本で光るはずのそれは、通常の機能を果たしておらずぼんやりと薄暗い。
あたしの怠慢な性格を示している物体だ。でもいい。もうすぐ去るのだから。

手元にあった本を読んだ。
手癖の悪い女の子の話。
なんだか暗い気分になった。でも最後まで読んだ。
希望があるような、ないような、不思議な話だった。
でも共感はできなかった。
文学の根底にある寂しさをあたしはいつも肯定できない。
自分の中に流れているものを認めたくないだけかも知れない。
買うんじゃなかったな、と思った。
でも買う前のあの高揚感を忘れることはできない。

そろそろケータイ電話を充電器に差し込んで、
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