パセリと手紙のある浮き島/hon
、人食い鮫の逸話は聞いたことはあるが、それでは説明になるまい。それでも、『先生』たちとここへやってきてから数ヶ月たった今では、怖さは慣れによって大分やわらいでいた。
やがて海側に突き出して水際に建てられているぼくの住み家が見えてきた。『浮き島』というのがここを知る者の間での呼び名となっている、ちいさな家。このぼくが海のそばに住むことになろうとは。ゆっくりと舗装されていない地面を踏んで、ぼくは自分の家へ――『浮き島』へ近づいていく。ぼくはきっととうの昔に死んでいるのだ。
3. ディーディー
ソファに転がって天井を見ている。一匹の小さな黒い蜘蛛が天井をのろのろと這っている。食料を
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