パセリと手紙のある浮き島/hon
よう」
「どうも、『配膳人』さん」
『配膳人』は時間に関係なく、おはようとあいさつしてくる。太っているが鷹揚としたところがなく、いつもせせこましい油断のない視線を周囲にめぐらせているのが感じられる、眼鏡をかけた顔色の悪い中年の男であった。ぼくは彼の脇を抜けて店内に入ると、必要と思えるものをみつくろってカートに放り込んでいた。すると、彼は唐突に「オーソドックス」とつぶやいた。ぼくは自分に話しかけられたのかと思って彼の方を向いたが、彼はこちらを気にしている様子もなく店先をぶらついていた。
彼は今たしかに「オーソドックス」と言った。何だろう、ぼくのことを言ったのだろうか。ぼくの身なりか言動がオ
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