パセリと手紙のある浮き島/hon
ていた。床には薄い紫のカーペットが敷かれていて、温かくも冷たくもない肌触りだった。そうやってうつ伏せになって呼吸を数えていた。1回、2回、3回、4回……カウントに意味はないが、時間の経過を確認していた。この部屋では時間が粘性をもって、まったく動かないことがあるようだ。51回、52回、53回、54回……カウントがそこまで進むころにはぼくはもう起き上がって、冷蔵庫をあさって、何か食べるものはないかと物色していた。なぜか洗剤ばかりがそこに冷されてあったが、腹の足しになりそうなものはなかった。洗剤を冷してどうするつもりだったんだろう。ともかく、食料を買出しにいかなければなるまい。
2. 浮き島
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