パセリと手紙のある浮き島/hon
それを手にした瞬間からの拒否反応だ。ぼくはそいつを視界の端のあたりをさまよわせながら、なんとか意識から逸らそうと努力していた。結局ひどく意識させられていたわけだけど、しかし封筒を完全に目の届かない場所に追いやってしまうことはできない。その知らせを開かなければならないことは分かっていたからだ。もし目の届かない場所にしまいこんでしまったら、もう一度それを取り出して読む気は起こらないだろう。それは困る。焦る気分はぼくにその封筒をペーパーナイフで開かせることすらしたが、とうてい読む気になれず、そのままテーブルの上に置いておいた。そしてもう、いかなる文字も読む気がしなかった。それがその午後のことだった。
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