パセリと手紙のある浮き島/hon
かった。その手紙ではじめてディーディーの死を知った。
窓の外では日が落ちかけて、室内は薄暗くかげりはじめていた。どういう経緯でこの手紙がぼくのところまで届いたのかまったく分からない。ディーディー。これはまた、ぼくにとっては懐かしく、また妙な感慨を呼び覚ます名前だった。彼はぼくが以前に勤めていた会社の同僚で、ぼくと同期の入社であり、一時期はよくつるんで遊びに行ったりしていた。彼の方が年上なのに、知り合ってからしばらくずっと慇懃な丁寧語で話しかけてきたのを覚えている。慣れてくると、彼のもの言いは案外わがままで率直であったが、どこか気品が感じられるところがあった。いや、分からない……上手いこと表現で
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