きみをくん/umineko
病室
うっすらとドアを開けると
きみは
夕陽に照らされて
いや
夕陽を睨みかえして
やけに大人びてたたずんでいる
私は
白衣のえりを直して
どお?って
ちょっとおどけて
ちょっと明るく
だけど
たぶん私のこころは
たっぷりと読まれているので
まあそれもいいかなって
どおする気?
わかってんでしょほんとは?
そう言いながら
私にはわからない
失うことがどういうことなのか
心のケアとか
術後の安定とか
思春期の相対心理とか
ことばにできるのはたぶん
わかることを放棄した
大人たちの仕
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