わが実験艦シュレスヴィッヒ・ホルスタイン/大村 浩一
 
言葉で作れる器用な私のこと、
おかげで沈まぬ太陽になったはいいが、
入れ子が入れ子になって、
どれが何につながるレバーやコードや管なのやら、
元が古いせいで何がなんだか分からない。
(もしもーし、もしもーし?)
くしゃみ一発ぐるぐる回り出すテクニカラーのオバケ。
風を入れようとすればいきなり温泉が吹き出るし、
何を思ったか『フィッツカラルド』よろしく山までよじ登る。
実験艦シュレスヴィッヒ・ホルスタインは水陸両用、
酔った勢いで3階の窓から宙も飛ぶ、
いまでは祇園祭りの山車よりも外見は雑然。
道路の段差でズドンと揺れると、
音楽隊の演奏が恐怖で一瞬止まる、
出来の悪いカ
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