落ち葉と穴/はじめ
理由はない ただアスファルトをもっと晒したいだけだ
晒して濡れたアスファルトが陽に当たって乾けばいいと思う
しかし曇り空だ
足で穴を大きく開けていると一匹の芋虫がくねくねと出てきた
芋虫を潰そうと思っていたが芋虫が暖かい落ち葉の中でぐっすりと眠ってほしいという感情もあってやめた
通り過ぎる人達は何やっているんだろうという視線で僕を見た
僕はマンホールの蓋程の穴を作って足で広げるのを辞めた
すると空から雨が降ってきた さっきよりも暗い雲になっていた
僕の身体は激しい雨ではなかったが次第に頭や衣服が濡れてきた
半乾きのアスファルトの穴も少しずつ真っ黒に戻っていった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)