落ち葉と穴/はじめ
た 暖かく湿っていた最初のアスファルトの穴をふと思い出した
僕はそこに突っ立っていた 駆け足で大学へと向かう人々は皆頭をもので隠していた
芋虫はもう出てこなかった
芋虫が入っていった落ち葉の周辺は雨に打たれても暖かいような気がした
僕は少しずつ大きな穴を小さくしていった
やがて穴が埋まり終わると僕は髪をかき上げて大学の方へ向いた
そして雨に打たれながら葉っぱの潤いを取り戻した落ち葉の上を歩いていった
神無月の午前の雨
僕も駈けだして大学へ走っていく
右足に落ち葉を退けた感覚が残っている
びしょ濡れになる都会
心の底を打つ長い雨
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