過保護という真綿/三架月 眞名子
使わせてくれないからじゃないか
という反論するひますら与えてもらえず
私は悔し涙を飲んだ
それから林檎の皮むきの練習を始めた
それでも最初のうちは
いつも傍らに母の姿
チラチラとこちらを窺うまなざし
手元が狂うともれる声なき悲鳴
その時気付いた
気付いてしまった
私はブランケットにくるまれていたのではなく
真綿にくるまれていた事に
そしてその真綿は
今でも私にまとわり付く
揚げ物をしている時は
キッチンに入れてもらえない
もし今私がグラスを割ったなら
その始末をするのは
母
私は指一本触らせてもらえない
挙句
足が危ないからと
いつもは穿
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