過保護という真綿/三架月 眞名子
 
私は二人姉弟の長女で
両親にとって初めての子
だから
傷つかないように
壊れないように
ふかふかのブランケットに包まれて育った


二十一歳になる私は
料理が出来ない
結局
一番の原因は自分自身だと
それはわかっているけれど
一度だけ言い訳をするチャンスを与えてほしい


傷つかないように
細心の注意をもって守られてきた私に
母は包丁を触らせてくれなかった
刃物と言う刃物から遠ざけた

林檎を剥けるようになったのだって
二十歳過ぎてから
それまでは毎回母が剥いていた
ある日林檎を所望すると
なんで林檎くらい剥けないの!
と罵声を受け
包丁を使わ
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