夕日の光/はじめ
姿が見えなくなった
君は正面を向いて僕にこう言った 「私を忘れることよ」
「忘れられるはずがない。君がいなくなったら僕はさらに激しい腕と心の痛みに耐えて生きていかなければならない」
僕は目を擦った 「僕と一緒に一生いてくれないか」
「それは無理よ。私はもうすぐ死に、あなたはこれから先生きて行かなくちゃならないんだから。私はもうこの世に存在していないのよ」 君は泣いていた
僕は身を乗り出して君を抱きしめた
日の焼けた椅子が傾いて倒れ 君をきつく抱き締めた
君の目は潤んでいた 水晶のように輝いていた君の目から涙が幾筋も流れた
僕達は長い長いキスをした 君の唾液は甘く 君
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