発火する夜/ヨルノテガム
 
わたしはそれについて語りたいと思うのですが、
外で風がジユウジユウと流れていまして
窓という窓を閉め切って歩む作業に追われています
しばし猶予を。



さて、鉄骨の話でしたかな
いやいや、幽玄のそれでしたかね、

洞窟の、鼻水の、また小さき洞窟の、
錆色の、土壁じみた偶像の、そうそう
不在でしたな、水玉模様にネジボルト。

コンコンと直線的な合理性に怖れを抱きつつ、
矮小な設計図を拡大してゆくと、
あっと女体像がぼんやり現れて
顔を無くして林立す、

どうしようもない薄気味と枯渇した粘土層が
ジワリと表象へ頭をもたげてきて痺れる


花が必要かもしれ
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