発火する夜/ヨルノテガム
 
しれぬ


花瓶の影の、それ太陽の、火を秘めた陶磁器の、
こねくり回したの、ビルの、ネジの、鉄骨の背骨の、その上の
フワフワの、綿菓子のような
幽霊と、
空を持ち上げる大巨人の悩みと、
森の暗さと、
梅干しのようなヒモ吊りの夕日と、
大地へ張る木々のネジボルトと、
緑から黄へ色づいてゆく葉っぱの黄昏と、
受粉と受精と合致と拡散と、そう、
白い、白いのは、かえるの卵のような

未来の塊である、

それを見るのは心地よい滅びでもあるナ

明日に焦点の定まらない
両乳房の眼力の
運命の遊びが詠われていることよ



花瓶の下に矢印が埋まっている

喉元に突き当てられた、その先への気後れと共に、

わたしはもう眠ろうではないか





























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