虚空に繁る木の歌   デッサン/前田ふむふむ
 
音楽が流れてくる。わたしは、寂しさと、湧きあがる思いを感じて、その音色を尋ねてゆくのだが、音色の下には、瓦礫の廃墟が一面、広がっているのだ。
逆光線だけが、わたしの眼を刺して、優しく包んでくれている。
溢れる汗を浴びて、振り返ると、世界は、時計のように、着実に、冷たく、賑やかに普段着で立っていた。
こうして、二度目の訂正された始まりから、
楕円形はさらに、色づけされながら。

わたしは、耳のなかで、立ち上がる
ぬるい都会の喧騒を、眺望すれば、
やわらかい季節の湿地に、
殺伐とした抒情詩の唇がせりだしてくる。

にわかに、門は轟音をあげて、閉じる。
老婆たちの口は、唯ならぬ勢
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