ベーゼンの海/soft_machine
 

  ついにお前は前世紀の真夏となって
 果実の薫であつめた
くらく重たい天盤をひらく
 太陽のとどかぬ深い森は
  禽の歌の皮肉なかがやきと歓喜と
   植物のむせ返るような熱を
    まなざしでくぐり抜け
   砂浜にたたずむ
  円を描く痛みを抱えながら
 静かに朽ちてゆく
 
ボロー二ア産と記された
 すべての弦が
  今は冷たい風に揺さぶられ
   ひろく横たわる黒い低部の鍵盤を
    磨かれた指の月光に押され
     かすかに
      呻く

   別れの曲を弾いてくれ
    高い空に問いかける
     音がひとつ消えてゆく度に
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