かなしい境遇/九谷夏紀
 
君は知性と権力を持っていて
だから私は君に惹かれたのかもしれない
実際私は君から知性を吸い取り権力を利用し
君を捨てて君から逃げた
あどけない私自身も置き去りにして

君がお金と美貌を持っていたから
私は君にあこがれたのかもしれない
私は君のお金でたくさんの物や教養を手に入れたし
君の美貌からは優越感と自信をもらった
そして多くの欲深さと妬みの圧迫を受けて
もう正常がよく見えない

君が明朗で世界に疑いを抱かないから
私は君を必要としたのかもしれない
そのひだまりは偽物のようにだけどあたたかかった
ありのままの今を人形のようにだけど一瞬受け入れることができた
けれ
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