かなしい境遇/九谷夏紀
 
けれども明るさとはためらいもせず
尖った刃物のように簡単に私を切り裂けるものだった
疑わないということは私を停止しさせ結局は後退させるものだった

君に才能と若さがあったから
君に希望を見たのかもしれない
その才能に感化されて私は外へ出られるようになった
たくさんの希望をもらったから
たくさんの絶望ももらわなきゃいけなかった
若さとは残酷なものだった
思い出も残らないくらいあっけなく過ぎ去った

いつも
望んで
与えられ
なにかをなくして
終わって
途切れる
積み重ねた信頼が
宙に浮かんで
涙となって
泣いてしまえば
どこかへ流せて
私の気持ちは
どんなものでも
どんなときでも
遠のけられる
私は
いつでもこうして
生きていられる
たくましく
次へ向かう自分が
かなしいくらい
信じられない



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