こどんのかげ/ねなぎ
 
がら
じゅくじゅくと
削げ廻る


零れて溶ける

その海に纏わる
駅の話は
すっかりと寂れた今では
特に誰も気にしなくなった
廃墟に物珍しさで
訪れる人々も
それが当然のように
感じられるのか
話題にさえ上らなかった

その奇妙な生物は
水辺でしか生きられず
山椒魚より
大きく
未分化の足と思われる
背びれが
地面を引きずり
ぬめねめと
液状の軟体を
残して
乾いた生ぐろい皮膚は
撒き散らかされるように
蜜柑の花のような
色をして
散らかり
かさかさと
風に舞うが
気にする様子も無く
瞼も閉じない

あの
眠るような
[次のページ]
戻る   Point(0)