苺愛歌/Rin K
 
君の誕生日、だとしても
ケーキの苺は譲れない
ぼくはこれでも、苺が好きだ
で、次に
ぼくのじいちゃんは船長だった
海賊船の
もう随分昔のことだけれど

なんて言ったら、笑う?
笑わない、のならば
君にだけ教えてあげよう
ぼくとじいちゃんと、苺の話



そのまえに、昨夜は怒ってごめん
君が寝ぼけて巻貝に食いついたこと
あの中には、いつまでも褪せない海があるから
ぼくとじいちゃんの、宝物だから
  
  いいか、いっせー
  じいちゃんたちは海賊だ
  タカラモノにありつけるまで
  ふたりだけの秘密だ

巻貝の奏でる、マリンブルーの音色に混じって
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