旅人/相良ゆう
るんだ
僕が探しているのは この雛の待つ巣のようなところなんだ」
大樹を見上げる彼を見上げてみるけれど
僕はますますわからなくなって さらに彼に聞いた
「おじさん 僕には ぜんぜんわからないよ
おじさんは いったい 何を探しているの?」
彼はまた僕の隣に座り
さっきと同じ優しい声で教えてくれた
「誰もがほしいと願っていて
誰もが大切にしているつもりなのに
誰もがいつの間にか見失ってしまっている
命と同じくらい尊いものさ」
「それが 居場所なの?」
「そうさ」
3
「おじさんは 居場所を 見つけられ
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