光/結城 森士
殺すことが出来ない
鶏の目を見ることが出来ない
鶏の最後の一瞬の力を感じたくない
それでも僕は鶏を殺して食べている
間接的に
3…
例えば生きるために鶏を殺さなければならないとして
その鶏を自分の手で殺すことが出来ない
鶏の目を見ることが出来ない
鶏の最後の一瞬の力を感じたくない
もし自分で殺さなければいけない時が来たら
僕は、殺せないで飢えて死ぬ美学を知っている
だが例えば僕に好きな人がいたとして
その人を守るためなら鶏を殺すだろう
4…
生きることを否定していた時期は
さわやかで理想的な人間像を全力で否定していた
でも僕は、好きになった人を
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)