希望/瓜田タカヤ
 
イタコ着弾

彼女の血液は急激にドロドロ
に濡れた

イタコは
死んだ人間を
自らの肉体を媒介にしておろすと言う

たとえば客の依頼が
縄文人であったなら
無理矢理テンションあげて
縄文人のふりをするのであろうか
たとえば客の依頼が
田中角栄であったなら
若く美しいイタコは
言葉の端々に
「マアソノー!」とくちびるをぬるく濡らしながら
何度かまばらに連呼するのだろうか

必ずそれは行われるはずだ

だって津軽の冬は
寒いからだ

真夜中の地吹雪は果てしなく黒い灰色の霧吹き 空間 それは
美しく無意識にすべてを冷却し
孤独は誰かを触りたいとえづく
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