哲学的人間/生田 稔
 
いと自任する人たちの打ち立てた学問体系の構造ぐらいはわかるというものさ。
いろいろな術語を取入れますよ。一例だけ挙げますと、カントの「純粋理性批判」の中のカテゴリー(範疇)なのだが、これはカントの造語で、希語であって、裁判のときに犯罪の種類と量刑に関して用いられていた語を流用したのだそうだ。
 シェクスピアも2千語ほど造語したそうだし、すると学問や文学は底が知れているということになる。それでもこうした文科系文学は造語に見られるように、きわめて個性的なる故に、その存在価値を持つに違いない。
 わたしもこの稿を書く動機はといわれるとちょっと困る。近所のスパーの本屋で、生物学に関する文庫本と「その
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