【小説】水色の下/R
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湿気が肌にまとわりついて、まるで私と共有することを望んでいるみたいだった。
私は彼ときっともう離れてしまったのに、まだセックスしているみたいだ。
熱が身体と繋がろうとして、離れない。
アスファルトに陽炎が立って、世界が私一人を残して溶けてしまいそうな気がした。
それが怖くて、溶けてしまいたくてアスファルトの上を走った。
車がザーッと流れていく音が、木の葉擦れのように聞こえて気持ちが良かった。
ある日の朝、海に水死体が打ち上げられたということを、
TVの中の女性が沈痛な面持ちを作って話しているのを聞いた。
「あら・・・あんたも気をつけなさいよ」
「あんたは水が好き
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