詩と詩論(その一)/生田 稔
て詩をつくる、それは芸術に常なることではないか。宮沢賢治は生くる間、権威からは一顧だにされなかったという。わたしも彼の詩に対して偏見を持つ.面白くない詩だと。伊良子氏も一読そうであった。しかし彼は大和風な内容の、簡潔にして澄める詩であると思う。「孔雀船」という詩集が残るのみらしいが、いかにも明治の詩人らしい雰囲気を感じさせるではないか。先の河井氏は西洋風傾向を内部にもつに反し,この詩人は純大和風であると先ほどからも、その詩を眺めつつ思ったのである。この詩をよく読みこみ、そして感動を得よ。躍動と、妙なる調べを汲み取られよ。この詩人を甦らせ、今もなお生くるを見よ。自らの偏見を取り外し、新しい詩の世界に
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