路傍で/ダーザイン
に沿って咲きほころぶ
黄金色のきんぽうげは
光の子らの笑い声
薄桃色の風露草は
夏服の少女が風の中で歌うアリア
花から花へゆらぐ
蝶の飛跡は時をたわめ
野に影もないところばかり
めぐる旅が続いた日々がありました
今時分は多分
もう夏の終わりの花
蝦夷かわらなでしこが
桜色の線香花火のように
咲き乱れているでしょう
孤独なバイク乗りの
メットのシールドには
いつもかすかに
幻の対者が映っており
その消え入りそうな姿が
海岸草原の中をどこまでもうねり延びる
一本道の傍らに
陽炎のように見え隠れしているのです
だから時折
旅人は路肩に停車する
[次のページ]
戻る 編 削 Point(22)