マテリアル・グランドツアー/カンチェルスキス
れは踏切りで待ってる
何を待ってるかというと電車だ
何言うと思った？
大型英検三級の合格通知とか？
各駅が到着したばかりで
おれは回送列車を一本待っていた
近所の本屋は今月から
健康食品を売る店になった
この飛躍におれは感動した
残業帰りのおっさんがタバコを吸いながら
通勤バッグを右肩から左肩にかえる
一日の重さはたいして変わらなかった
それからそうだ
これから電車に乗る若い女が二人歩いてて
「あのノリあかんやろ」
「あれもありなんちゃう」
「あかんて、うち、ああいうの受けつけへんねん」
「わたしだってそうやけど、よくあることやんか」
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