眠り姫の目覚め/なかがわひろか
 
うな顔をしたけれど
おかげでお国の財政も
何とか立て直せそうだからと
周りの説得のうち
なんとかわたしと
結婚してくれた

わたしは正妻とはなったものの
眠りすぎた体は
もうどこも動かなくて
糞尿を垂れ流し
ものも言えなくて

目の前で王子が
他の女と逢瀬を交わしていても
なんにも咎めることは
できなかった

ねえお父様
お父様が望んだわたしの幸せは
むしろ諦めに近いかたちで
わたしを迎え入れたわ

本当は
誰にも渡したくなかったのでしょう
いつまでも
穢れることなく
お父様の一所有物として

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