*ドナとジョーの薔薇の園*/知風
落とさなかった
ドナは薔薇の蔓で首輪をふたつ編み
ひとつをジョーに贈った
ふたりは首輪に愛の永遠を誓い
片時もはずすことがなかった
ある日ジョーは薔薇の庭を抜け
森まで遠乗りに出かけた
にわかに空が掻き曇り
嵐でジョーは立ち往生
木陰をたどって彷徨ううちに
足を踏み込んだのは獣の領域
それはジョーがかつて知らぬ
肉を奪い合う争いの世界
ジョーを襲った悪意の四足を
弓にて仕留めて救った者は
血臭まとわる毛皮をまとい
裸足で駆ける狼の娘
生肉喰らうその少女は
自らをメァリメァリと名乗った
メァリメァリの野性の肢体
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